ライズを待ち続けて

東北の渓流を舞台とした釣り物語

アメリカ旅行の道すがらフライフィッシングをしてみた ④

4 オレンジ色のレインウエア 

 

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川の水位が変化する警告  

  そして持参する釣り具の準備である。ウエブで推奨しているのは5番か6番のタックルだ。6番の持ち合わせは2本つなぎのロッドしかない。これをアルミケースに入れてマンハッタンをうろつくわけにもいかない。かと言ってスーツケースに納まるパックロッドは3番と4番しかない。庭に出て両方をつなぎ合わせて振って比較してみると、当然だが4番の方が口径が太く、大きな魚の引きにも耐えられそうである。ただしこれは平成のひとけた時代に、白神山地の奥地へ入るために買ったものである。フライフィッシングを手ほどきしてくれた師匠から、ロッドというものはなるだけつなぎの数が少ない方が性能に優れているものである、と教えられ、普段使いはせず竿袋の中で寝かせていることが多かった。いつだったかロッドのつなぎ目が緩くなってしまったので、行きつけの釣具店に修理に持っていったら、腰の弱さを指摘された代物である。つまりロッドの命とも言える反発力が弱いということ。その後の源流釣りで久しぶりに使ってみたら、ここぞという大事な場面でイワナを2度もかけそこなってしまった。早合わせをしたわけでもないのに、フライがイワナの口からすっぽ抜けてしまった。この失敗の原因をロッドに帰してまた寝かせてしまっていたが、今回はこのような事情により、大事な場面での起用となったわけである。 機嫌を直してやる気を出してくれていることを願って。

 リールは、4番のシンクチップラインをまいたものと、 WF4番のフローティングを二つ準備した。これはいつもホームグラウンドの荒雄川で使ってきたものだ。念を入れてラインとリーダーとをネイルノットで結び直し、両側を持って左右に引っ張っても抜けないのを確認した。それらを小物と一緒にウエストバック一つに詰め込んだ。ランディングネットは木製の華奢な造りで嵩がある。川までたどり着く間に壊れてしまうこともあるだろうと案じる反面、持参しないのは、端から負け戦を覚悟しているような気がしたのだ。 

 それと最後にオレンジ色のレインウエアをバッグに詰めた。州のウエブで知ったのだが、ちょうどこの時期は州内でハンティングが解禁される。対象は、鹿、熊、キジ、それに七面鳥である。実際に、釣り当日先住民の像のあたりで車を止めたら、それを避けるように鳥の群れが木立の中へ逃げ込んでいった。大型で体がずんぐりむっくりしており、初めて見たのでちょっと怖かった。川岸は良い猟場となるらしく、この時期釣りをする人は間違って撃たれないようにオレンジ色のものを身に着けるように、警告されていたのだ。ちなみに狩猟の方法は銃だけでなく、弓矢を使うことも許されているというからなんとも怖いものです。