ライズを待ち続けて

東北の渓流を舞台とした釣り物語

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 6/8

実はタカシがその大きなイワナを釣った閉じた沢があるところは、この川のイワナ釣り場のほんの入り口でしかないんだよ。本流の奥は深くてな、山道から杣道を経て川原に降りてからも川は延々と続いていた。地図で見ると、源流はいつかの支流に分かれていて、…

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 5/8

そいつはな、ただサイズがでかいだけではなく、体色が白いイワナだった。アルビノとは違う。色が薄かったんだね。暗い谷だと思っていたんだが、実は河床には花崗岩が砕けた白い砂が堆積していたんだよ。そこに居ついていたから、環境に合わせてそんな色にな…

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 4/8

それはさらに古い話でな、さっきの話からさらに30年ばかりも遡る。昭和の時代のことだよ。当時、フライフィッシングを覚えたばかりのワシは,すぐに夢中になって、あっちこっちの川へ足繁くでかけるようになった。そして楽しさを誰彼となく語り聞かせてい…

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 3/8

前の年にそんないい思いをしたものでな、次の年もまたチャンスを狙っていたのだ。ところが、その年の6月の上旬は雨が続いてしまっていてな、中旬になると今度は気温が上がらなかった。天候につられてこちらの動きも鈍く、なんだかその気にならなかった。そ…

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 2/8

その前の年はな、冬の間の雪が少なかった。そして春になってから急に気温が上がったんだ。だから、これは雪代水が落ちるのは早いだろうと予測したわけだ。そして、タカシに連絡して、いつもよりも一か月以上も早く一緒にその川へ行ったのだよ。タカシという…

釣り爺様の昔語り カーティスクリーク 1/8

今日はこれから皆にある川の話をしようと思う。食べながら呑みながらでも聞いていっておくれ。 30年も前の話になるがな。その頃には毎年の気候の変わりぶりが激しくなっていてなあ、冬の間に降り積もる雪の量も年によって違ってくることが多くなってきておっ…