ライズを待ち続けて

東北の渓流を舞台とした釣り物語

 アメリカ旅行の道すがらフライフィッシングをしてみた ②

2 Deerfield River    

           Hail to the Sunrise Park                     モホーク族を称える像だという この像がある公園に車を止めた    

 モホークトレイルの西端の町NorthAdamsのロッジに宿を取り、ボストンから車で往復する間に、釣りに使える時間はわずかだ。ボストンでレンタカーを借り出す手続きに時間がかかるかもしれないし、初めての町を初めての左ハンドルで右側通行するわけで、所要時間を正確に見込むことは無理だった。 

 フィッシングガイドを予約して現地で待ち合わせすることは諦め、釣りができそうなところで車を停めて川に入り、ポイントを探しながら釣るという、いつも日本でやっているスタイルではできないだろうか。釣れる可能性は低いかもしれないが、もし釣れたとしたらその方がずっと面白いだろう。 

 Google Maps での Deerfield River の画像はぼやけていて、川の大きさ、流れの強さなど細かいことはわかりにくい。You Tube では、ゴムボートで下りながら釣る様子が見られたので、場所によってはかなり大きな川なのだろう。支流に目を向けると Cold Riverという名の川があった。こちらは規模が小さくて、日本でもよく見られるような大小の石がゴロゴロしている渓流で、安全に遡上できそうだ。ちょうどそれは、Mohawk Trail State Forest という森林公園に隣接して流れており、そこならば車を止める場所もあるのではないか。 

 実はアメリカで初めて釣りをするにあたって気がかりだったのが、土地の所有者の権利である。日本では川は公有で、だからこそだれでもが川に入ることができるが、これは国によって違うらしい。以前、ニュージーランドで釣りをした経験があるが、フィッシングガイドは、川に出入りする場所や車を止める場所にとても気を遣っていた。おそらく私有地を避けていたのだと思う。川を歩いて遡上していていた時にも、口元に人差し指を当てて、ここから上流では声を出すなよと、周囲にも気づかれないようにしたい素振りを見せた。両岸が果樹園になっている川で農作業をしている人に声をかけられた際にも、相手は決してフレンドリーな様子ではなかった。このように大分日本とは事情が異なるようだった。アメリカの事情はどうなのか。ライセンスを持っているにしても、自由に川に出入りして遡行できるものなのか。こっちはそのつもりがなくても、プライベートエリアに侵入するような行動をしてしまって、所有者を怒らせた上に、銃でも突き付けられないか心配だった。 

  でも、これについては、調べようがなく、現地に行って誰かに聞いてみるしかなかった。